東京、代々木上原、飲食の場でありながら株式会社301.というデザインチームのオフィスでもあるCafe&Bar No. ワインやコーヒー・料理を楽しめるカジュアルな雰囲気の中、バーカウンターでカクテルなどのフォーマルな楽しみ方もできる。様々な要素が混在する空間には新しい出会いやアイデアが生まれる土壌があり、常に活発な新陳代謝が行われている。
今回は1月の「No.セレクト」の選定をしてくださる荻島渉さんにお話を伺った。
— 荻島さんがバーテンダーの世界に入った経緯を教えてください。
荻島 はじめはイタリア料理店のバリスタやソムリエもいるレストランで働いていました。コーヒーが好きだったのでバリスタになりたいと最初はソムリエ・バリスタの勉強していたところ、洋酒の種類の多さと美味しさに魅了され、知れば知るほど面白さを増すお酒の世界にのめり込んでいきました。色々なカクテルを知るためにバーへ回り、カクテルの一杯一杯の奥深さを知りバーテンダーになりました。
— お酒に興味を持ってもらえる取り組みをNo.さんでは、どのように提供していますか?
荻島 バーに初めて来たようなお客さんが、難しい名前のカクテルがメニューにあってもオーダーしにくかったり、そもそもこれってなんだろう?の所からスタートし、飲んでみたらアルコールが強いなどイメージのギャップからネガティブな印象しか残らない事が多い気がしています。
— 難しい名前のカクテルは、飲んだことが無いと確かにオーダーしにくい感覚はありますね。
荻島 No.の場合は、お酒が既に好きな方へはもちろん、そうではない方へも一つのきっかけとして美味しいかもしれないという入口からでも楽しめるようなバランスがテーマとなっています。皆さんに普通にカクテルをオーダーしてもらえるレベルまでお酒を楽しんでもらえるように、カクテルにNo3やNo4といった数字の名前を振っています。あえてカクテルの名前を伏せて先入観無くお酒を味わうことでカクテル本来の美味しさを楽しむことができます。
名前が分からないからこそ名前や素材を知りたくなるし、そこの興味や疑問がカクテルというものの面白さに触れるきっかけになると思います。”カクテルなんて全く分からない”という方でも、一つの入口として気軽に楽しんで頂けるそういった体験の提供の仕方もしています。
— そういった体験価値にフォーカスした提供の仕方はとても興味深いです。メニューにある料理もどれも美味しそうですね。おすすめウイスキーとそれに合う料理などありますか?
荻島 ラガヴーリン8年の水割りが好きですね。
温度帯は冷やしすぎないことがオススメで、上品さの中にほんの少しだけ見え隠れするワイルドさを持っています。
No.のメインで立ってくれている片山日菜シェフが店舗で提供しているカチョエペペの組み合わせは、是非一度お店で体験していただきたいです。
A ma facon(アマファソン)という屋号を自身でも構えていて、No.を拠点として卸などの外部の動きも積極的にこなしているスーパーシェフです。
チーズとブラックペッパーのコンビネーションが効いているカチョエペペに、
鼻から抜けるスモーキーさがアクセントとなりますが、水に包み込まれて主張しすぎることなく料理の邪魔もしない絶妙なバランスです。
また、木曜日限定で台湾料理を提供していて、ル―ローハンやからあげのスパイスとの相性を更に引き立ててくれるのでこちらもおすすめです。
— とても美味しそうです。No.さんでは楽しみ方が組み合わせ方によっていくらでも広がりそうな感じがします。それに加えてNo.さんではバー/カフェ/デザインチームで定期的に面白いコラボイベントもしているようですね。
荻島 今はコロナで一旦中断しているんですけど、また近々予定しているのは、
服ブランドのコレクションのように、カクテルをシーズンごとのコレクションとして打ち出して、冊子としてまとめてバックナンバーとして保存していく企画があります。
バー/カフェ/デザインの3つのチームでそれを進めるのですが、その制作過程をインタビュー記事で一冊の本のようなメニューにまとめます。一杯のカクテルが完成するまでの様々な経緯や、実際に使った材料の分量が書いてあるカクテルブックのようになっているという企画です。
No.のお酒や美味しい料理はもちろん、デザイン×お酒という新しい角度から生まれる様々なクリエイティブに今後も目が離せません。飲食を中心とした文化発信を担う大きい存在となっていく。そんな空気感を感じました。
荻島渉さん
代々木上原のCafe&Bar No.(ナンバー)のバーテンダー。デザイン×飲食という新しい切り口のNo.で今までにない高度な飲食体験の提供を目指している。
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荻島さんが選定する1月「No.セレクト」は2021年12月31日までのご購入でお楽しみいただけます。